近年、ブドウ栽培は不向きだと考えられてきた産地で質の高いワインがつくられるようになりました。
中でも、宮崎県都農町に位置する、「都農ワイン」は世界を凌駕する偉大なワインを生み出す名門であり、日本ワインファンでその名を知らぬ者はいない存在です。
「CRAFT WINE SHOP」では、そんな都農ワインが醸す「プライベートリザーブ アルバリーニョ 2023」を入荷。
都農ワインとはどんなワイナリーなのか、「プライベートリザーブ アルバリーニョ 2023」の魅力をここで紹介していきましょう。

都農町と都農ワイン
都農ワインは、宮崎県児湯郡都農町に位置するワイナリー。
1996年に赤尾誠二氏によって立ち上げられた、宮崎県都農町産のブドウにこだわった質の高いワインを生み出す人気ワイナリーです。
日本国内のワインコンクールはもちろん、世界最大規模のワインコンクール『Decanter World Wine Awards』で入賞歴を持つワインを生み出すなど、今や都農を飛び出し日本を代表する存在に。 自社圃場では、キャンベル・アーリーやマスカット・ベーリーA、甲州のほかに、シャルドネやピノ・ノワール、アルバリーニョ、ソーヴィニヨン・ブランといった国際品種の栽培にも力を入れるなど、多種多様なブドウ品種で、“都農”の味わいを表現しています。
輝かしい経歴を持つ都農ワインだけに、“都農町はブドウ栽培に恵まれた贅沢な環境なのだろう”と考える方も多いかもしれません。
しかし、今の都農ワインが確立されるまでには大変な苦労があったと言います。
尾鈴ブドウの誕生
都農ワインの歴史を語る上で、尾鈴ブドウを知る必要があります。
尾鈴連山と日向灘が出会う地である都農。
1953年、この土地が秘めている魅力を信じた「永友百二」という人物が、稲作に頼らない豊かな農業経営を目指し、19歳で梨園を開園したことから尾鈴ブドウの物語が始まります。
雨が多く果樹栽培は難しいと言われていた都農で田んぼに木を植えるといった行動は、周囲の非難を集めたそう。
しかし、農業試験場や果樹園芸専門誌の指導を受けながら知識と技術を磨き上げた百二の梨は、東京農大主催の全国梨品評会で入賞するなど高く評価されます。
梨栽培の成功により、戦後直後に百二が次に手掛けたのはブドウでした。
1953年には都農初の巨峰を植え付け、カトーバ、キャンベルぶどう酒仕込みが行われていた記録も残されているとか。
それから5年後、百二の巨峰が商業的に成功を収め、都農にブドウ農家が増加していきます。
ブドウ栽培にとって厳しい環境は変わらなかったものの、都農はブドウ生産量を伸ばし、ついに巨峰にスーパーハンブルグを交配したブドウ品種「尾鈴」が誕生したのです。
一人の青年が追い続けた夢、その志を継いで夢を紡ぎ続けてきた都農の人々。
現在の都農ワインもまた、「永友百二」の志を受け継ぎ、都農の新たな未来を紡ぎ続けているのです。
都農ワインのブドウ栽培とワインづくり
1988年に都農町でワイン原料対策特別調査班設置されてから、8年後の1996年11月15日。 都農町に、「都農ワイン」がオープンしました。
現在、取締役工場長は宮崎県南町生まれの赤尾誠二氏。 都農町役場にワイン技師として入庁し、18歳からブドウ栽培とワイン醸造に携わった後、2006年にオーストラリアでの醸造研修。 同年都農ワインの工場長代理に就任し、2016年より取締役⼯場⻑に就任した人物です。
“日本の大地で育つ食材に合うワインは、日本ワインであるべき。宮崎で育った鶏でつくるチキン南蛮に合うワインをつくっている”と語る赤尾氏は、日本を代表するワインメーカーの1人として知られています。
都農ワインのこだわりは、ブドウの独自栽培です。 火山灰土壌の「黒ボク土」が主体の土壌である都農は、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル分が乏しく、都農ワインでは堆肥を使った土づくりをしているとのこと。 『ぶどうはやせた土地でよく育つ』といった定説を盲信するのではなく、この土地に合った健全な独自の土づくりを行っているところが特徴です。
さらに、その土壌に適したブドウ品種を徹底的に選抜しながら栽培、今もなお都農の気候風土に適した品種を模索しているとのこと。 樹の仕立ても定説に従うのではなく、あくまで地元のブドウ生産者にならい、都農のテロワールを表現したブドウ栽培を行っています。 熟成もブドウに合わせた仕込みを徹底しており、同じブドウ品種であってもさまざまなスタイルを追求するなど、その時に収穫されたブドウを最高に生かすための醸造方法を徹底しているところも魅力です。
雨が多い都農でありながら有機肥料での栽培や圃場によって収穫時期を見極めるなど、都農ワインではブドウと対話をしながらワインがつくられています。
“ブドウ栽培などできるわけがない”。 その都農で、今世界で高く評価されるワインが生み出されている。 “ワインはストーリーでも、楽しむお酒”。 そんな話を思い出させてくれる存在が、都農ワインなのです。
都農ワイン/プライベートリザーブ アルバリーニョ 2023
「CRAFT WINE SHOP」おすすめの1本が、「プライベートリザーブ アルバリーニョ 2023」。
アルバリーニョは北部スペインの高級ワイン『リアス・バイシャスD.O.』の主要品種であり、フレッシュかつミネラル感とうまみを楽しめる人気の白ブドウ品種です。
果皮が厚めで耐病性のあるブドウ品種であり、降雨量の多い産地でも比較的健全に育つことから日本でも人気の品種。 本場リアス・バイシャスでは、棚栽培されているところもポイントです。
都農ワインにとってアルバリーニョは比較的新しく栽培された品種なので、これからも進化し続ける期待のブドウ品種となりそうです。
「プライベートリザーブ アルバリーニョ 2023」は、蜂蜜や黄色い花を思わせる華やかでアロマティックな印象。 紅茶、森、土、落ち葉、ブドウの果皮といった香りも感じられる、複雑性のあるアロマが魅力的です。 また、スワリングによって生まれるトロピカルな香りもアルバリーニョらしさを際立たせます。 海のワインと称されるアルバリーニョらしく、凝縮感ある果実味だけでなく、ほど良い塩味とシャープな酸味、ほのかな苦みがエレガントさを演出。 余韻は長く、熟成感も楽しめる1本です。
チキン南蛮はもちろん、シーフード全般に合わせやすい日本の白ワインです。
ぜひ、手に取ってみてください。
都農ワイン/プライベートリザーブ アルバリーニョ 2023
3,960円(税込)
ワインの詳細はこちら
まとめ
先人たちの想いを受け継ぎ、さらに地域のブドウ農家にならった、“都農のブドウ栽培”を守る都農ワイン。
その土地、そのヴィンテージを表現するテロワールを大切にしたワインを今も醸し続けています。 「プライベートリザーブ アルバリーニョ 2023」は、そんな都農ワインが手がける、今飲むべき白ワイン。
宮崎の郷土料理をはじめ、日本のおいしい食材に合わせて楽しんでみてはいかがでしょうか。