日本ワインとは。
海外のワインはもちろん、「国内製造ワイン」とも「国産ワイン」とも違います。
国内で収穫されたぶどうのみを使用し、日本国内で製造されたワインだけを「日本ワイン」と呼べることが法的に定められています。
言い換えれば、日本ワインとは、純粋に日本各地の気候風土から来る味わいを楽しめるワインです。
日本ワインの大きな特徴は、多様性。
現在、ほとんどの都道府県でワイン用のぶどう栽培がおこなわれていますが、北限の北海道名寄市は北緯44.1度、南限の沖縄県恩納村は26.3度。その差、約18度。
フランスのワイン産地の北限シャンパーニュと南限コルシカ島との緯度の差は約6度ですから、いかに南北に離れているかがわかります。
地形も、盆地などの扇状地もあれば、標高900mを超える山間部だったり、砂地の海岸地帯だったり、多様な環境でぶどう栽培が行われています。
品種もいろいろ。甲州やマスカット・ベーリーAなどが代表的な日本の固有品種ですが、その他にもシャルドネやピノ・ノワールなどのヨーロッパ品種、自生している野生品種、さらにはこれらの交雑種、交配種など数多くの品種からワインが造られています。
このような多様性は、和洋折衷楽しむ日本の食文化に、とても似ていますね。
各地の特産品としての、日本ワイン。
地域の特徴を生かしたワインを生産する地域の中で、GI(地理的表示制度、Geographical Indication)指定を受けるところも出始めました。
ワインと言えば、AOCやDOCを意識される方も多いかもしれませんが、日本でもGIが整ってきています。
産地の特性が明確であることや、それを維持するための管理がなされていること等が要件となっていますが、現在は、山梨県、山形県、北海道、大阪府、長野県の5つの道府県が指定されています。
たとえば、GI北海道の白ワインは、青リンゴや柑橘系の果実の香りと豊かな酸味が特徴ですが、そのGIの要件には、ケルナーやナイアガラなど品種が指定されていたり、総酸値について一定の基準が設けられていたりします。
冷涼産地の北海道らしさが感じられるワインです。
もちろん、日本各地の特産物は、ワインだけではありませんね。
私達は、四季折々、各地の旬の食材や美味しいものを堪能することができます。
それらと同じ地域の日本ワインを合わせて、食事とのペアリングでテロワールを楽しむ食卓は、とても身近で比較的容易に実現できる幸せではないでしょうか。
日本ワインは、さまざまな形で私達の日常に寄り添い、日々の生活を豊かにしてくれるアイテムだと思います。
さて、今夜はどんな食卓にしましょう。