日本を代表するブドウ品種のひとつが、甲州です。
日本の固有品種として長い歴史を持つ甲州の存在は、日本ワインの隆盛の礎を築いた存在と言っても過言ではないでしょう。
そんな甲州の魅力は、なんと言っても多種多様なスタイルで醸されているところです。
今回、知っておきたい甲州の魅力、「CRAFT WINE SHOP」おすすめの甲州ワインを3本紹介します。
甲州の魅力に迫りたい、体感したいといった方はぜひ参考にしてみてください。
甲州を知る
日本固有品種のひとつ、「甲州」の魅力に迫る情報を下記の内容にまとめました。
- 甲州とは?
- 甲州の歴史
- 甲州の魅力
それぞれ解説します。
甲州とは?
甲州とは、日本固有の白ブドウ品種です。
ワイン醸造用ブドウとしてだけでなく生食用も兼ねたブドウであり、主な産地である山梨県では時期になると果物売り場に甲州が並べられています。
甲州は果皮がやや灰色がかった、“グリ系品種”として知られており、薄緑色の白ブドウと比較すると果皮由来のポリフェノールが多く含まれているところが特徴です。
通常、透明感のある白ワインがつくられているものの、その特徴から果皮と種子、果汁を一緒に漬け込む、“醸し(スキンコンタクト)”が行われることもあり、“甲州を原料としたオレンジワイン”も多く見受けられます。
甲州からはさまざまなタイプのワインがつくられていますが、基本的に和柑橘や白い花の香り、穏やかな酸味と柔らかな酒質、ほのかな苦味が特徴的で、和食との相性は抜群。
ちなみに甲州ワインと聞くと山梨県をイメージされると思いますが、島根県や山形県、栃木県などでも優れた甲州ワインがつくられているなど、まだまだ可能性に満ちたブドウ品種です。
甲州の歴史
甲州の歴史は古く、数百年以上前から日本で栽培されていたと言われています。
当時の甲斐国である山梨県での歴史はとくに古く、質の高いブドウとして江戸時代には献上品に利用されていた歴史もあるようです。
甲州が来歴した伝説として、1186年に当時の八代郡祝村(現甲州市勝沼町)の城の平で山ブドウの変異種を見つけた雨宮勘解由が甲州をつくったとされる、「雨宮勘解由説」。
718年、奈良時代に西方よりやってきた僧、行基が薬師如来から授けられたとされる「大禅師説」が有名ですが、2013年に酒類総合研究所が行った甲州の核DNAと葉緑体DNAの解析により、より明確な来歴が判明しました。
その研究によると、ヨーロッパ系品種のヴィティス・ヴィニフィラと中国の野生種ヴィティス・ダヴィーディの2つのDNAが含まれており、7割ほどヴィニフィラ寄りのブドウ品種であることも判明。
カスピ海生まれヴィニフィラが中国を経由し、何千年といった交雑の末に日本へと渡来したと考えられています。
日本ワインとして国内で高く評価され続けられている甲州ですが、一方で甲州は日本固有品種として初めて2010年にOIV(国際ブドウ・ワイン機構)に品種登録されました。
登録によってワインラベルに品種名「Koshu」を表示できるようになり、甲州を原料とした、“日本ワイン”として正式に海外で勝負することができるようになっています。
現在も山梨県内のワイナリーでつくられている「Koshu・Of・Japan」により海外への輸出拡大を目指した活動も盛んに行われているほか、米国カリフォルニア州ナパ・バレーやドイツでも甲州が栽培されているなどグローバルな活躍も見逃せないポイントです。
甲州ワインの品質もここ数十年で驚くほど飛躍しており、世界の名だたるワインコンクールでの受賞も珍しい話ではなくなってきました。
これから何十年、何百年先であっても甲州は日本における重要品種であり続けることは間違い無いでしょう。
甲州の魅力
甲州の魅力は、なんといってもスタイルの幅広さです。
甲州はとても繊細な酒質のワインを生み出すブドウ品種であり、一時は、“水っぽいシャバシャバワイン”などと不名誉な評価を受けていました。
山梨県内のワイナリーによる努力はもちろん、大手ワインメーカーによる甲州プロジェクトの実施や地元での勉強会、さらに甲州の優良系統を選抜など、“甲州のポテンシャルを最大限引き出すため”の努力が長年続けられてきた結果、今では世界を驚かすような品質の優れた甲州ワインが生産されるようになっています。
甲州は、グレープフルーツを思わすフレッシュさや白桃、和柑橘のニュアンスに爽やかな酸味、優しい酒質、フェノリックで軽い苦味が特徴の白ワインを生み出す品種です。
ただしワイン自体に強烈な主張はなく、全体を通してエレガントで繊細、バランスの良い酒質となります。
その繊細は裏を返せば、さまざまなタイプのワインをつくりやすいといったメリットを持ち、樽熟成やシュール・リー、オレンジワインなど、“画一的なワインをつくる”品種ではないところが魅力です。
甲州ワインのタイプを簡単に下記にまとめました。
シンプルなタイプ
甲州ワインに比較的多いのが、シンプルに醸す、若く飲んで美味しいフレッシュ&フルーティーなタイプです。
新酒やワイナリーの定番ワイン(デイリーワイン)に多いタイプで、辛口のすっきりとした爽やかで飲みやすいワインになっています。
どんな食事にも合わせやすく、とくに和食全般に合うため毎日の食卓で活躍してくれる嬉しいタイプです。
シュール・リータイプ
甲州は、フランスのミュスカデのようにシュール・リーと呼ばれる澱と一緒に樽内に一定期間置いておく製法と相性が良いようです。
樽熟成とは違った手法であり、風味に厚みが生まれながらもより爽やかでフレッシュな印象となり、微発泡が見られるものもあります。
スッキリしているのにコクがある、そんな甲州ワインを探している方におすすめです。
樽熟成タイプ
甲州は繊細な酒質であるため、樽由来のクリーミーなニュアンスやスモーキーさ、バニラの香りとも相性が良好です。
繊細で華奢な甲州がグッとリッチな雰囲気になり、生クリームをたっぷりと使った料理や強めの味付けの料理とのペアリングも広がります。
新樽でしっかりと熟成させたもの、樽のニュアンスはごくわずかにして繊細さを残したものなど、同じ樽熟成でもさまざまなタイプがあるところも魅力です。
醸しタイプ
甲州は果皮がやや紫がかった濃い色合いで厚みがあり、ポリフェノール量が多いため果皮と種子、果汁を一緒に漬け込んだ醸しとして手法で仕込まれることがあります。
色合いはオレンジ色のオレンジワインになり、果皮由来の甘くフルーティーな香りとぽいフェノール由来の厚み、渋み、そして甲州由来の苦味などがバランスよく組み合わさった力強い白ワインとなります。
きいろ香タイプ
甲州にはソーヴィニヨン・ブランにふくまれている各種チオール系物質が存在しており、グレープフルーツなどフレッシュな柑橘のニュアンスがあることがわかりました。
収穫時期を早めること、酵母の選抜や醸造法にこだわることなど、この要素を引き出したつくりにより、ぐっと華やかな香りを放つ甲州ワインを生み出すことができます。
和食との相性は抜群ですが、香り豊かな洋食系やエスニックな料理ともペアリングの幅を広げられるタイプです。
「CRAFT WINE SHOP」おすすめの甲州ワイン3選
甲州の魅力を知るためには、やはり甲州を飲まなければ始まりません。
「CRAFT WINE SHOP」おすすめの甲州ワインを3選、下記で紹介します。
大和葡萄酒「INNOCENT イノセント」
山梨県でも歴史に古い老舗ワイナリー大和葡萄酒が醸す甲州ワインが、「INNOCENT イノセント」です。
甲州が持つ柑橘の香りを引き出す醸造を行うだけでなく、その後なんとフレンチオーク、アメリカンオークの古樽と新樽で熟成させたキュヴェをブレンドさせたこだわりの製法でつくられています。
そんな「INNOCENT イノセント」の魅力は味わいの良さだけでなく、可愛らしいポップなラベルデザイン。
画家として活躍する勝屋久氏によるオリジナルラベルで、ワインを飲んだ時に無邪気さ、フランス語で『INNOCENT (イノセント)』といった言葉が降りてきたと言います。
同氏がその無邪気さをイメージして完成させたというのが、このラベルデザインです。
爽やかな香りとフルーティーな酸味、そこに加わる樽由来の香りや複雑性。
ゆっくり、落ち着いた環境で飲みたい、“うまさ”をしみじみ感じさせる1本です。
大和葡萄酒「INNOCENT イノセント」
税込3,300円
Cfaバックヤードワイナリー「Ring Components KOSHU」
栃木県の老舗清涼飲料水製造会社「株式会社マルキョー」内に位置する、小さなワイナリー「Cfaバックヤードワイナリー」。
醸造家姉妹が運営する注目のワイナリーです。
「Ring Components KOSHU」は、複数つくられた甲州ワインの中で、特徴的に優れたものを取り上げているシリーズ。
しっかりと色づいた琥珀がかったゴールドカラーの外観からもわかるように、複雑でリッチな印象の香りを楽しめる1本です。
ドライフルーツやアプリコット、花梨などの香り、柔らかく丸みを感じる口当たりながら酸味と茶渋のニュアンスがあり骨格のしっかりとした仕上がり。
甘い蜜を想起させるアフターも魅力的です。
複雑性とまろやかな口当たり、骨格のある酒質であることからカキフライやクリーム系料理、豚肉も塩だれや酢豚など力強い味わいのものと合わせやすいでしょう。
ラベルのデザインもモダンでスタイリッシュ。
テーブルに置いておくだけで絵になる、おすすめの1本です。
Cfaバックヤードワイナリー「Ring Components KOSHU」
税込2,420円
白百合醸造「勝沼甲州 2021」
山梨県勝沼町の老舗ワイナリー白百合醸造が醸す、「勝沼甲州 2021」。
珠玉のワインを数多く生み出し続ける日本が誇る同ワイナリーが自信を持ってお届けする、“フラッグシップ”です。
原料ブドウは勝沼町産甲州ブドウのみにこだわり、シュール・リー製法で製造されています。
「勝沼甲州」シリーズは毎ヴィンテージ高く評価されており、数多くのワインコンクールで受賞歴を持つワイン。
今回おすすめする「勝沼甲州 2021」は、世界的に知られている超有名ワインコンクールであるDWWA(デキャンター・ワールド・ワイン・アワード)にてプラチナ賞を受賞するなど、“世界が認める”日本屈指の甲州ワインとして注目されています。
爽やかな柑橘系の香りと複雑性のある果実味、さらにミネラル感など、洗練された世界クオリティの品質。
そして甲州らしい柔らかさと美しさ、しなやかさを兼ね備えているワインだけに、料理の邪魔をしないフードフレンドリーなワインでもあります。
握り寿司や和風サラダなど、一見ワインと難しそうに見える和食とも難なく合わせやすく、天ぷらのような繊細な揚げ物にも寄り添う1本。
握り寿司や塩、天ぷらは柑橘をしぼった塩で食べるようなスタイルがおすすめです。
甲州の真髄を知りたい方は、「勝沼甲州 2021」を手に取ってみてはいかがでしょうか。
白百合醸造「勝沼甲州 2021」
税込2,970円
まとめ
日本ワインを語る上で、甲州は外すことができない重要品種です。
海外品種からつくられた優れた日本ワインに注目が集まり出していますが、まず原点として日本の固有品種である甲州を知り合いという方も多いはずです。
甲州の魅力を知り、さまざまなスタイルの甲州を楽しんでみてください。