山形県は、山梨県、長野県、北海道に次いでワイナリー数・ワイン生産量が多い産地です。
ひとくちに山形県と言ってもブドウ栽培地によって気候条件や土壌組成、つまりテロワールに違いがあるため、県内のどのエリアのワインを選ぶかも楽しみのひとつになります。
今回、「CRAFT WINE SHOP」がおすすめしたいワイナリーは、山形県上山市(かみのやまし)に位置する、「ウッディファーム&ワイナリー」です。
テロワールに恵まれた、“かみのやまの”から生み出されるワインとは一体どんな味わいなのか。
ぜひ、日本ワイン選びの参考にしてみてください。
ウッディーファーム&ワイナリーについて
ウッディーファーム&ワイナリーは、山形県上山市のワイナリー。
山形県上山市は果樹の栽培が盛んであり、生食用ブドウだけでなくワイン用ブドウの栽培も盛んな産地です。
同市は『かみやまワイン特区』に指定されており、多くのワイナリーが点在。
2025年5月に市内で開催された、「山形ワインバル2025」にも多くのワインファンが集うなど、“山形県屈指のワイン銘醸地”と言っても過言ではないエリアでもあります。
ウッディーファーム&ワイナリーは、そんな上山市内の自社畑でブドウを育て、そのブドウを原料にワインをつくる、“ドメーヌ”スタイルのワイナリーです。
同ワイナリーの特徴について下記で紹介していきましょう。
2つの顔を持つワイナリー
ウッディーファーム&ワイナリーは、“2つの顔を持つワイナリー”として知られています。
まずは、ドメーヌスタイルのワイナリーであるところ。
同ワイナリーでは昭和50年頃からすでにワイン専用品種を栽培しており、原料となるブドウはワイナリーが始まった時から、全量「山形県かみのやま市」内の自社畑で生産しています。
自社畑で収穫したブドウを原料としたワインを生産するワイナリーは多いですが、全量を自社畑で生産している(買いブドウではない)場所はそう多くはありません。
そして2つ目の顔は、“高品質な果物栽培に取り組む果樹園”であるところです。
山形の伝統的な栽培技術と独自の棚仕立て栽培にて、さくらんぼやラ・フランスを中心とした高品質な果物を生産しています。
そのためウッディーファーム&ワイナリーではブドウを原料としたワインはもちろん、大粒の高級さくらんぼ、ラ ・フランスを原料としたジュースなどのアイテムも人気です。
ワイン専用品種へのこだわり
ウッディーファーム&ワイナリーは、ワイン専用品種へこだわるワイナリーです。
ワイン専用品種とは、ヨーロッパブドウ、ヴィティス・ヴィニフィラと呼ばれるブドウで、カベルネ・ソーヴィニヨンやシャルドネ、ソーヴィニヨン・ブランなど、“ワインをつくるためのブドウ品種”になります。
現在のウッディーファーム&ワイナリーが誕生するきっかけとなったのが、1977年。
現社長の父にあたる木村義男氏が、ワイン専用品種メルロ、カベルネ・ソーヴィニヨンを大手ワインメーカーと契約栽培を開始したことに始まります。
その後、ジャムやフルーツソース、ドライフルーツなどを製造していましたが、2007年にワイン専用品種ブドウ畑拡張開始し、2011年にワイナリー事業を始動・開始させました。
以前より木村義男氏は同市のタケダワイナリーの武田氏のワインづくりへの想いに共感していたということで、いつか自らのワイナリーを持ちたいと考えていたそう。
そんな中、自らもワイン専用品種を使いヨーロッパに比肩するワインをつくりたいと思いが強く、今でも自社畑には国内品種を植えていないと言います。(主力はプティ・マンサンとアルバリーニョ、カベルネ・ソーヴィニヨンなど)
そして、2013年に果実酒醸造免許取得、2014年にワインをリリースしました。(ちなみに木村義男氏は93歳まで現役で活躍していたそうです!)
高品質なワイン専用品種は上山市のテロワールがあってこそ
今もなお日本では栽培が難しいと言われるワイン専用品種ですが、ウッディーファーム&ワイナリーがそれら品種が生み出すワインは世界を凌駕する品質です。
まず、同ワイナリーの自社畑は標高が最高300mの場所に点在しており、凍害が避けられると言います。
さらに、収量制限を徹底することでブドウの糖度を高め質を高める作業を行なっているとのこと。
土壌組成も黒ボク土だけでなく、ワイン専用品種に最適な赤土の畑を所有しているため、カベルネ・ソーヴィニヨンなどの質が良くなると言います。
また、ウッディーファーム&ワイナリーでは全ての畑で化学肥料や除草剤を使用していません。
上山市のテロワールの恵を最大限享受するための努力があるからこそ、ウッディーファーム&ワイナリーのワインは人を惹きつけるのではないでしょうか。
ピュアな醸造
ウッディーファーム&ワイナリーは、ブドウ本来のポテンシャルを引き出すためのピュアな醸造にこだわるワイナリーです。
日本ワインの多くは原料ブドウの糖度や酸度が低いことから、補糖も補酸などを行うワイナリーが少なくありません。
ウッディーファーム&ワイナリーは創業以来、補糖も補酸などワインを人的コントロールすることを行なっていないそう。
さらに、残糖の残るワイン以外はワイン本来の魅力を残すため無濾過で仕上げている徹底ぶりです。
同ワイナリーの原料は全て自社栽培100%のブドウであり、ヴィンテージやブドウ品種の個性、熟度の違いなどを見極め、ブドウに合わせた醸造を行っています。
“地味豊かなワインづくりを目指す”ことを掲げている、ウッディーファーム&ワイナリー。
山形県上山市というブドウ産地の味をダイレクトにワインに反映させている、貴重なワイナリーなのです。
ウッディーファーム&ワイナリーについて
「CRAFT WINE SHOP」では、日本ワインファンに、ぜひ飲んでほしいウッディーファーム&ワイナリーのワインを揃えています。
同ワイナリーの魅力が体感できる、珠玉の3本を下記にて紹介していきましょう。
ウッディファーム/アルバリーニョ 2023
ウッディーファーム&ワイナリーが注力するアルバリーニョの2023年ヴィンテージ。
同年は区画によって完熟したアルバリーニョが多く、熟度の違う4種類の原酒をそれぞれ発酵させた後にブレンドしてバランスを整え仕上げています。
アルバリーニョらしい桃や柑橘、青りんごのアロマ、やわらかな味わいとフレッシュさが特徴です。
同ワイナリー曰く補酸の必要に迫られる内容だったものの、ヴィンテージにないものを求めないという想いから、2023年の暑さを表現できた1本になっているとのことです。
ウッディファーム/アルバリーニョ 2023 税込3,630円
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ウッディファーム/原口畑 プティ・マンサン オレンジ2021
ウッディファームの原口畑にて収穫されたプティ・マンサンをオレンジワインに。
蔵王おろしの寒風に耐えながら熟成する上山のプティマンサンは凝縮感があるとのこと。
果皮由来の成分を適度に抽出したことで、核果系、和柑橘、蜂蜜といったアロマやスモーキーさが生まれています。
フレッシュさも感じる、魅力溢れるオレンジワイン。
熟成を減るごとにオレンジ色へと変化する、晩成型の酒質が特徴です。
ウッディファーム/原口畑 プティ・マンサン オレンジ2021 税込4,400円
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ウッディファーム/ピノノワール 2021
上山のテロワールで育てられた、魅力溢れるピノ・ノワール。
毎年栽培の工夫を重ね、完熟したヴィンテージのみ醸される貴重な赤ワインです。
こちらのピノ・ノワールは野生酵母で13日間醸した後、古樽に11カ月貯蔵後は無濾過で瓶詰め。
トースティなアロマ、その奥からチェリーやスモモの可憐な風味を感じる複雑な味わい。
酸味は豊かで冷涼なヴィンテージを反映、ピノ・ノワールの持つ魅力を全て感じさせるエレガントな1本です。
ウッディファーム/ピノノワール 2021 税込3,520円
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まとめ
近年、とくに盛り上がりを見せている山形県。
中でも、上山市はワイン専用品種で高い評価を得る、日本屈指のワイン銘醸地です。
“上山市のテロワールを存分に楽しみたい”。
そんな方は、ぜひ「ウッディファーム&ワイナリー」が醸す1本を試してみてはいかがでしょうか。