日本各地にワイナリーが誕生している昨今、四国にも魅力的なワイナリーが多数誕生しています。 その中でもとくに注目されているのが、高知県に位置する「井上ワイナリー」です。
今回、「CRAFT WINE SHOP」おすすめのワインを紹介します。 “高知県でワイン?”と思われた方にも、飲んでいただきたい品質の高いワインばかり。 ぜひ、ワイン選びの参考にしてみてください。
「井上ワイナリー」とは?
「井上ワイナリー」について知る上で、欠かすことができないポイントが3つあります。 このポイントを押さえておけば、よりワインが味わい深くなるはずです。
石灰の会社が運営するワイナリー
「井上ワイナリー」が誕生したのが、2016年のこと。 そんな同ワイナリーを設立・運営しているのは、「井上石灰工業株式会社」という石灰を使用したさまざまな製品を展開する高知県の老舗企業です。
高知県は優れた石灰が採掘されることで知られており、同社も古くから石灰を利用した質の高い商品を展開しています。 そんな同社には石灰が主原料の農薬「ICボルドー」といったベストセラー商品があるようですが、それを通じて縁のある葡萄研究所の志村富男氏に、“ブルゴーニュにも劣らない、素晴らしい石灰土壌があるのだから、ブドウを栽培してみたらどうだ”とアドバイスをもらったそうです。
ブドウ栽培が成功すれば、高知県でも問題になっている耕作放棄地の再利用につながり、そのブドウからワインができれば地域活性化に結びつく。 未来へ希望が持てる事業になる、そんな想いから「井上ワイナリー」の物語がスタートしました。
恵まれた土壌と徹底した対策によるブドウ栽培
高知県をはじめ、四国は高温多湿で台風も多いエリア。 そのため、ワイン用ブドウの栽培には適さないと考えられてきました。 高知県でのブドウ栽培は「井上ワイナリー」にとってもハードルが高いもので、周囲からも反対されたと言います。
そんな中、ワイナリー設立のきっかけとなった葡萄研究所の志村富男氏から、「品種の厳選」、「雨への対策の徹底」というアドバイスをもらい、ブドウの試験栽培がスタートしました。 収穫されたブドウの品質は高く、それからつくられたワインの質も高かったことから、高知県でのブドウ栽培・ワインづくりに手応えを感じたのだそうです。
現在、「井上ワイナリー」は高知県内の5つの圃場を所有しており、栽培は井上石灰工業の社員が手掛けます。 純度の高い石灰が採掘できる稲生圃場をはじめ、石灰質を含むミネラル成分豊かで水はけの良い土壌を有する山北圃場、水はけが良く日照量が多い手結圃場。 さらに、さまざまな土質が複雑に混ざり合う香北圃場、標高540mの雲の上に位置する梼原圃場にて、それぞれの圃場に適したブドウ品種が栽培されています。 恵まれた土壌を生かすため、妥協を許さない徹底した対策が講じられている。 世界レベルの素晴らしい石灰土壌を有する高知県だからこそ、出会えるワインが「井上ワイナリー」でつくられているのです。
“毎日飲みたい”を目指したワインづくり
世界が羨む石灰土壌、徹底した雨対策と厳選された品種、さらに優れたボルドー液を展開する井上石灰工業が手がけるワイナリーだけに、ブドウの品質は申し分ありません。
では、一体醸造にはどのようなこだわりを持っているのでしょうか。 醸造作業は、委託醸造先の山梨のワイナリーでの修行を経た社員が担当。 醸造自体は山梨県と島根県のワイナリーに委託していたものの、2021年の2月からは、最新鋭の設備を有する「井上ワイナリーのいち醸造所」での醸造がスタートしました。
「井上ワイナリー」の目指すワインは、毎日飲みたいワイン、そして高知県の食材と合うワインです。 ブドウの酸度と糖度、そしてポリフェノール量のバランスを見極め、適切な時期に収穫。 抽出は繊細に、ワインの酸化を徹底的に防ぐ努力し、オフフレイバーのないクリーンな味わいに徹底してこだわった醸造を心がけているとのことです。
ちなみに、「井上ワイナリー」では、“高知のワイン”といったPRのために高知県名物「鰹のタタキ」との相性の良さを科学的に分析するなど、食事との相性の良さを大切にしています。
毎日飲みたいワインだからこそ、日常の食事と合わせやすいワインを。 これも、「井上ワイナリー」のこだわりです。
CWS厳選!井上ワイナリーおすすめ2本
高知県でも優れたワインが生み出せることを、品質で示した井上ワイナリー。
「CRAFT WINE SHOP」厳選のおすすめワインを2本紹介します。
個性が際立ちながらも、クリーンな品質の魅力的なワインの数々をぜひお試しください。
井上ワイナリー/tosa cavatina 山南 タナ 2023

香南市に位置する山北圃場で収穫されたタナを贅沢に使用した赤ワイン。 山北圃場は、日当たりの良さが特徴で、土壌は石灰質を含むミネラル成分が豊かで水はけの良さが特徴です。 強いタンニンが語源と言われているタナは、濃くパワフルなワインを生み出す品種。 カシスやブラックベリー、濃厚で複雑な甘みを感じさせる黒系果実の香り、スパイシーさとトーストのニュアンスもポイントです。 口当たりは繊細ながら、酸度が高く、渋みもしっかりと感じる世界を凌駕するような力強さがあります。 果実の甘みとスパイスが複雑な絡み合う、品質の高い赤ワインです。 まだまだ熟成のポテンシャルを感じさせるタナなので、複数本購入がおすすめ。
井上ワイナリー/tosa cavatina 山南 タナ 2023
税込5,500円
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井上ワイナリー/tosa cavatina 山北アルバリーニョ 2024

温州みかんの名産地である、高知県香南市香我美町で育てられたアルバリーニョを使用した白ワイン。 たっぷりと日差しを浴びた、アルバリーニョだけにアロマティックなワインに仕上がっています。 山北産アルバリーニョは、クリアで淡いレモン色の外観が特徴的。 トロピカルフルーツを想起させる華やかさを持ちながら、柑橘やハーブ、フレッシュさを感じる香りも楽しめる、香りだけで満足できる1本です。 爽やかな酸味がもたらす優しい口当たり、ミネラルのニュアンス。 アフターには紅茶、花など華やかなアロマを感じます。
井上ワイナリー/tosa cavatina 山北アルバリーニョ 2024
税込4,620円
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まとめ
高知県でワインなんて想像もできなかった、といった方もいるでしょう。 「井上ワイナリー」は、その常識を打ち破った、これから注目すべきワイナリーです。 恵まれた石灰土壌、厳選された品種、徹底した雨対策、そしてブドウの持つポテンシャルを大切にしたクリーンなワイン醸造。 高知県のテロワールが、「井上ワイナリー」のワインには詰め込まれています。
新しい日本ワインを探している方は、ぜひ「井上ワイナリー」をチェックしてみてください。